前回は、食事だけでは必要な栄養素を満たすことが難しい現実についてご紹介しました。今回は、その不足分をどう補っていけばよいのか、「マルチビタミン」を切り口にお伝えします。
栄養素は「バケツの穴」のようなもの
ビタミンやミネラルは、単体で働くのではなく、お互いに助け合いながら体内で機能しています。たとえば、鉄分は単体で摂るよりも、ビタミンCと一緒に摂ることで吸収率が高まることが知られています。また、カルシウムの吸収にはビタミンDが関わっているなど、栄養素同士は複雑に連携し合っています。
これはたとえるなら、複数の穴が空いたバケツのようなものです。一つの穴だけを丁寧に塞いでも、他の穴から水(栄養)がこぼれ続けてしまいます。バケツに水を溜めたいなら、まずはすべての穴を全体的に塞ぐ必要があるのです。

特定の栄養素だけを摂る前に
「肌に良いからビタミンC」「疲労回復にビタミンB群」というように、特定の栄養素だけをピンポイントで摂ろうとする方は多いですが、土台となる栄養バランスが整っていなければ、その効果を十分に発揮できないことがあります。
たとえば、ビタミンB群だけを大量に摂取しても、それをエネルギーに変換する過程で必要な他のミネラルが不足していれば、期待したような変化を感じにくいことがあります。栄養は「一点集中」ではなく「全体の底上げ」がまず優先されるべきなのです。
マルチビタミンを「基礎」として考える
このような理由から、栄養を補う際にはまずマルチビタミン・ミネラルで全体のバランスを底上げし、その上で気になる栄養素(美容目的のビタミンC、疲労対策のビタミンB群など)を追加していくという順序がおすすめです。
家づくりに例えるなら、マルチビタミンは基礎工事のようなもの。基礎がしっかりしていなければ、その上にどんなに良い建材を積み上げても、本来の効果を発揮しきれません。
サプリメントは「食事の代わり」ではない
ここで注意したいのは、サプリメントはあくまで食事を補うものであり、食事そのものの代わりにはならないという点です。野菜や果物には、ビタミン・ミネラル以外にも食物繊維やポリフェノールなど、サプリメントだけでは補いきれない栄養素が含まれています。
「サプリを飲んでいるから食事は適当でいい」ということではなく、食事を基本としながら、どうしても不足しがちな部分をサプリメントで補うという考え方が大切です。
マルチビタミンを選ぶときの視点
マルチビタミンと一口に言っても、含まれる栄養素の種類や配合バランスはさまざまです。選ぶ際は、価格の安さだけで決めるのではなく、ビタミン・ミネラルが幅広くバランス良く含まれているか、続けやすい形状・粒数であるかといった点を確認することをおすすめします。
また、サプリメントは即効性があるものではなく、続けることで少しずつ土台が整っていくものです。数日試して変化がないからとやめてしまうのではなく、まずは1〜2ヶ月程度、続けてみることを目安にすると良いでしょう。
まとめ
栄養素はお互いに支え合いながら働くため、特定の一つだけを摂っても十分な効果は得られません。まずはマルチビタミン・ミネラルで土台を整え、そのうえで必要な栄養素を追加していくという順序を意識してみてください。
次回は、せっかく摂った栄養がきちんと体に吸収されるために欠かせない、「自律神経」と「腸内環境」との関係についてご紹介します。
※本記事は一般的な栄養に関する情報提供を目的としており、特定の疾患の治療・予防を保証するものではありません。持病のある方や体調に不安がある方は、医師にご相談ください。
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